【お知らせ】塾専用HP作成サービス
最終更新日:2026年8月25日/2026年8月時点の法令・ガイドラインに基づいて記載しています
「合格実績の数え方に、決まったルールなんてあるんですか」
塾長さんとお話ししていると、時々こういう質問をいただきます。無理もありません。ホームページに「〇〇高校 12名合格!」と書くとき、その12名をどう数えたかを説明している塾は、ほとんど見かけないからです。
先に結論をお伝えします。合格実績の数え方について、法律に「何時間通った生徒なら数えていい」という数値基準はありません。あるのは、業界団体が定めた自主基準と、景品表示法という一般的なルールです。
そしてもうひとつ。実際に行政処分を受けている塾を調べると、合格実績よりも「料金の比較表」と「No.1」の方が、処分件数が多いのが実情です。
多くの塾長さんが心配しているところと、実際に危ないところが、少しズレています。この記事では、そのズレを埋めます。
目次
結論:危ないのは4種類の表示
塾のホームページに載っている情報を、リスクの高い順に並べるとこうなります。
| 表示の種類 | 何に引っかかるか | 実際の処分事例 |
|---|---|---|
| 「No.1」「地域一番」「満足度第1位」 | 優良誤認(合理的根拠がない) | あり |
| 他塾との料金比較表、「1時間あたり〇円」 | 有利誤認 | あり |
| 合格実績の人数 | 優良誤認(水増し) | あり |
| 保護者の声・口コミ | ステマ規制/優良誤認 | あり(塾以外の業種) |
意外に思われるかもしれませんが、最も手軽に書けてしまう「No.1」が、最も危ない表現です。以下、順に見ていきます。
合格実績:法律に数値基準はない。あるのは業界の自主基準
景品表示法が禁じているのは「著しく優良に見せること」
景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)が禁止しているのは、サービスの内容を実際よりも著しく優良であると誤認させる表示(優良誤認表示)と、取引条件を実際よりも著しく有利であると誤認させる表示(有利誤認表示)です。
条文に「合格実績は在籍3か月以上の生徒に限る」といった具体的な基準は書かれていません。書かれていないからこそ、業界団体が自主基準を作っています。
全国学習塾協会の自主基準(2024年7月改定)
公益社団法人全国学習塾協会は、合格実績としてカウントできる生徒の基準を定めています。2024年7月1日に改定された現行の基準はこうです。
受験直前の6か月間のいずれかに「在籍」があり、かつ同期間に受講契約に基づく30時間以上の「受講」の実態がある生徒、あるいは継続して3か月以上の「受講」の実態がある生徒を、合格実績をカウントする対象の生徒とする。
改定前は「受験直前の6か月間のうち、継続的に3か月を超える期間在籍し、通常の学習指導を受け、かつ受講時間数が30時間を超える場合」というAND条件でしたが、改定後は「30時間以上の受講」または「3か月以上の受講」というOR条件に変わっています。短期集中で通った生徒を拾えるようになった一方、「在籍だけしていた生徒」は数えられません。
なお「在籍」とは、入塾申込書等の契約書面の取り交わしがあり、有料の講座への料金の納入が証明できることを指すとされています。
数えてはいけないもの
同協会の自己適合宣言では、次のものを含めないと明記されています。
- 体験授業・体験講習・無料講習・自習・無料補習
- 模試だけを受験した生徒(有料・無料を問わず)
- 他の事業主体へ派遣した講師による授業・講習を受けた生徒
さらに範囲の明示についても定めがあります。合格実績が「事業主体の全部」「分教室の一部」「チェーンシステムにおける同名塾全体または一部」「提携塾の全体または一部」のいずれに該当するかを明示すること、そして同一の生徒がグループ内の複数の塾でカウント要件を満たした場合でも、グループ全体の合格者数を表示する際に重複してカウントしてはならないこと。
中高一貫校の高校受験合格者に、当時の中学受験合格者を加算しないこと。当年度の実績なのか、過年度の累積・積算なのかを明示すること。電話やメールで合格者を勧誘して水増しする行為をしないこと。これらも項目に含まれています。
協会に入っていなくても、この基準は無関係ではありません
「うちは協会員じゃないから関係ない」と思われるかもしれません。しかし、自主基準は業界における「通常の数え方」の目安として機能します。裁判や行政の判断で「業界の一般的な基準からどれだけ逸脱していたか」が問われる場面で、この基準は参照される可能性があります。
そして何より、この基準を守った上で「当塾は全国学習塾協会の基準に沿って集計しています」と書ける塾と、数え方を何も説明していない塾とでは、保護者から見た信頼感が違います。
参考: 公益社団法人全国学習塾協会
実際に処分された塾の事例
抽象論ではイメージが湧きにくいので、実際の措置命令を3件並べます。
事例1:合格実績の合算(2011年・大手3社)
消費者庁は2011年4月26日、学習塾等を経営する事業者3社に措置命令を出しました。チラシやパンフレットに表示した大学入試合格実績に、自社が提供する映像授業サービスの加盟塾における合格実績を加算したり、該当するサービスを受講していない者や他塾の受講生の合格実績を加算して記載していたというものです。
このうち2社は関東と関西でそれぞれ塾・予備校を展開する事業者で、2009年に業務提携しており、互いの合格者数を合算して公表していました。
教訓: 提携先やフランチャイズ本部の実績を、自塾の実績として書いてはいけません。書くなら「〇〇グループ全体の実績」と明示する必要があります。
事例2:料金の比較表(2023年・地方の塾)
2023年3月、学習塾を運営する事業者が、自社ウェブサイトに他の個別指導塾との料金比較表を掲載し、あたかも1時間あたりの授業料が835円で他社より安いかのように表示していたところ、実際の1時間あたりの授業料は1,188円だったとして、有利誤認表示による措置命令を受けました。
対象となったのは「毎日コース(定額)」と称する個別指導サービスのうち中学1年生向けのもので、表示媒体は自社ウェブサイトでした。
教訓: ここが最も見落とされやすいポイントです。「月謝÷授業回数」で単価を出すとき、教材費・維持費・季節講習費を分母に入れないと、実際より安い数字が出ます。比較表を作るときは、他社の条件と自社の条件を同じ基準で揃えなければなりません。
事例3:「利用者満足度No.1」(オンライン塾)
オンライン個別学習塾を運営する事業者が、自社ウェブサイトに「オンライン家庭教師で利用者満足度No.1に選ばれました!」「第1位 オンライン家庭教師 利用者満足度」「第1位 オンライン家庭教師 口コミ人気度」と表示していたところ、この表示に合理的根拠がなく、優良誤認表示に当たるとして措置命令を受けました。
教訓: 次の章で詳しく扱います。
「No.1」が最も危ない理由——不実証広告規制
15日以内に根拠を出せなければ、それだけで不当表示
景品表示法には不実証広告規制という仕組みがあります。消費者庁が表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求めたとき、その提出期限は、求めた日から原則として15日後です。
15日以内に根拠資料を提出できない場合、その広告は不当表示とみなされ、措置命令の対象になります。
つまり、「効果があるかどうか」を消費者庁が証明する必要はありません。塾の側が、表示した時点ですでに根拠を持っていることが前提になっています。後から慌てて調査しても間に合いません。
「合理的な根拠」のハードルは高い
合理的根拠資料と認められるには2つの要件があります。ひとつは、提出資料が客観的に実証された内容であること(試験・調査、または専門家の見解のいずれかを満たすこと)。もうひとつは、表示された効果や性能と、資料によって実証された内容が適切に対応していることです。
ここで問題になるのが、いわゆる「イメージ調査」です。調査会社に依頼して、実際にはサービスを利用したことがない人にウェブアンケートで「もっとも良いと思うオンライン塾は?」と聞き、その結果で「満足度No.1」と表示する。この手法は表示内容と調査内容が対応していないため、根拠として認められにくいものです。
塾のホームページで避けたほうがいい表現
- 「地域No.1の合格実績」(何の範囲で、いつ時点で、誰が調べたのか)
- 「満足度98%」(誰に、何人に、いつ聞いたのか。回答者数と調査時期の明示が必要)
- 「〇〇市で一番選ばれている塾」
- 「合格率95%」(母数は何か。志望校を下げた生徒はどう数えたのか)
どうしても数字を使いたい場合は、調査主体・調査時期・対象者・回答数を、本文と同じ視認性で併記するのが最低ラインです。
保護者の声・体験談:2023年10月からルールが変わりました
ステマ規制の対象は「事業者の表示」
2023年10月1日から、いわゆるステマ規制が始まっています。運用基準では、事業者が第三者に対してSNS上や口コミサイト上に自社の商品・サービスに関する表示をさせる場合が、規制対象となる「事業者の表示」に該当するとされています。判断は、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているかどうか、逆にいえば第三者の表示であると誤認されないかどうかを、表示内容全体から見て行われます。
「割引と引き換えに口コミを書いてもらう」は明確にアウト
塾業界の事例ではありませんが、判断基準がはっきり分かる処分があります。
2024年6月6日、消費者庁はクリニックを運営するある医療法人に対し、ステマ規制に基づく初の行政処分を行いました。ワクチン接種のために来院した人に対し、Googleマップの口コミ投稿欄に高評価をつけることを条件に接種費用を割り引くことを伝え、複数の来院者が星5の評価を投稿した、という事案です。消費者庁は、これらの投稿による表示は同法人の表示にあたると判断しました。
2025年3月にも、別の医療法人がGoogleマップの口コミに高評価をつける条件で治療費を値引きしていたとして措置命令が出ています。
塾に置き換えると、こうなります。
- 「Googleの口コミを書いてくれたら教材費を割引します」→ 危険
- 「合格体験記を書いてくれたら図書カードを渡します」→ 対価があるので、掲載時に事業者の表示であることが分かる必要があります
- 保護者が自発的に書いた口コミ → 事業者が一切関与していない自主的な口コミは規制の対象外です。ただし、依頼・対価・便宜供与があると対象になり得ます。
自塾のサイトに載せる「保護者の声」はどうなのか
自塾のホームページに掲載する体験談は、そもそも塾の広告として読まれるので、「事業者の表示であることが分からない」という問題は起きにくい領域です。ステマ規制よりも、内容が優良誤認にならないかのほうが論点になります。
- 「3か月で偏差値が20上がりました」→ その生徒に実際に起きたことでも、一般的にそうなるかのような見せ方をすれば優良誤認になり得ます
- 「※個人の感想です」と小さく添えるだけでは足りません(次章で扱います)
- 生徒・保護者の顔写真や実名を載せるなら、掲載範囲・期間・削除方法を明記した同意を書面で取ってください
よくある3つの誤解
誤解1:「うちは個人塾だから、処分なんてされない」
措置命令に事業規模の要件はありません。前述の事例2で処分されたのは、全国規模の大手ではありません。
一方で、金銭的なペナルティには規模の線引きがあります。課徴金は不当表示に係る売上の3%(対象期間は最大3年)ですが、課徴金額が150万円未満、つまり売上5,000万円未満となる場合は対象外とされています。この意味では、多くの個人塾は課徴金の対象になりません。
ただし、2024年10月1日施行の改正でルールが厳しくなっています。
故意に優良誤認・有利誤認表示をした場合、措置命令を経ずに100万円以下の罰金を科す直罰規定が新設されました。また、確約手続が導入され、違反の疑いがある事業者が是正措置計画を申請して認定されれば、措置命令や課徴金の適用を受けない仕組みができています。さらに、過去10年以内に課徴金納付命令が確定した企業が再び違反した場合、課徴金は1.5倍に加重されます。
そして個人塾にとって最も重い現実的なリスクは、罰金でも課徴金でもありません。措置命令は事業者名とともに公表され、「当該表示が景品表示法に違反する旨を一般消費者に周知すること」が命じられます。地域密着で運営している塾にとって、これがどういう意味を持つかは説明するまでもないと思います。
誤解2:「昔から載せている実績だから大丈夫」
問題になるのは「いつ作ったか」ではなく「今も掲載されているか」です。
5年前の合格実績を、年度の表記なしで載せ続けている。閉鎖した教室の実績が残っている。もう提携していない塾の実績が入ったまま。——こうした状態は、更新の手間が理由であっても、表示としては現在進行形です。
「2021年度実績」と年度を明記するだけで、多くの問題は解消します。逆に、年度を書かずに数字だけ載せているのが最も危ない状態です。
誤解3:「『※個人の感想です』と書けばOK」
いわゆる打消し表示です。これは免罪符ではありません。
打消し表示が有効と認められるのは、それによって本文の印象が実際に打ち消される場合に限られます。大きな文字で「偏差値20アップ!」と書き、ページ下部に薄いグレーの8ポイントで「※個人の感想です」と添えたところで、一般消費者の受ける印象は変わりません。この場合、表示全体としては優良誤認と判断され得ます。
同じことが「合格実績」の注記にも言えます。数え方の注記をページの最下部に置くのではなく、実績の数字のすぐ近くに、同じくらい読める大きさで置いてください。
今日できるチェックリスト
自塾のホームページを開いて、上から順に確認してみてください。
合格実績について
- ✅ 何年度の実績かを明記しているか
- ✅ 当年度の実績か、過年度の累積かを明示しているか
- ✅ 数え方(在籍期間・受講時間の基準)をどこかに書いているか
- ✅ 体験授業のみ・模試のみの生徒を含めていないか
- ✅ 複数教室・グループ全体の実績なら、その範囲を明示しているか
- ✅ 複数教室に通った生徒を重複してカウントしていないか
料金について
- ✅ 「1時間あたり〇円」の分母に、教材費・維持費・講習費を適切に含めているか
- ✅ 他塾との比較表を載せている場合、比較の条件を揃えているか
- ✅ 比較に使った他塾の料金は、いつ時点の情報か明記しているか
「No.1」「満足度」について
- ✅ 調査主体・調査時期・対象者・回答数を併記しているか
- ✅ その根拠資料を、今すぐ15日以内に出せる状態で保管しているか
- ✅ 出せないなら、その表現を削除する
保護者の声・口コミについて
- ✅ 割引や謝礼と引き換えに口コミを依頼していないか
- ✅ 掲載について、本人から書面で同意を得ているか
- ✅ 「※個人の感想です」を、本文と同じ視認性で置いているか
見つけた後の話——「直せるかどうか」が本当の分かれ目
ここまで読んで、直したい箇所が2つ3つ見つかった方が多いと思います。
問題はその次です。
ホームページを制作会社に依頼している場合、「合格実績に年度を追記したい」「No.1の表記を削除したい」という修正を、いつ反映できるでしょうか。連絡して、見積もりが出て、作業日程が決まって、確認して、公開。早くて数日、混み合っていれば2週間。軽微な修正でも都度費用が発生する契約なら、「これくらいなら次のまとめ直しのときでいいか」と後回しになります。
表示規制への対応は、知識の問題であると同時に、修正の速度の問題です。気づいた日に直せない仕組みだと、気づいても直りません。
合格実績は毎年3月に更新が必要で、料金改定のたびに表記の整合を取り直す必要があり、講習会の告知は年に何度も入れ替わる。塾のホームページは、公開して終わりにできる種類のサイトではありません。
正直にお伝えしておくと
この記事を書いているchottoは、塾長ご自身がホームページを作成・更新するためのサービスです。chottoを使えば表示が適法になる、という話ではありません。何を書くか、どう数えるかを判断するのは塾長ご自身であり、そこを代わって判断することはできません。判断に迷う場合は、消費者庁の相談窓口や景品表示法に詳しい弁護士にご相談ください。
chottoができるのは、気づいたその日に、自分の手で直せる状態にしておくことだけです。ただ、上のチェックリストで見つかる問題のほとんどは、法律の難問ではなく「年度を1行足す」「1文を消す」レベルの作業です。それが数日待ちになるか、5分で終わるかの違いは、思っているより大きいと思います。
参考・確認先
制度やガイドラインは改定されます。実際の判断にあたっては、必ず最新の原典をご確認ください。
- 消費者庁 表示対策(景品表示法)
- 消費者庁「表示に関するQ&A」
- 公益社団法人全国学習塾協会
- 消費者ホットライン:188(いやや)
ご注意
本記事は、学習塾の広告表示に関する一般的な情報の提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際の表示が景品表示法に適合するかどうかは、表示全体の内容や取引の実態によって判断が分かれます。個別の判断が必要な場合は、消費者庁の相談窓口、お住まいの自治体の消費生活センター、または景品表示法に詳しい弁護士にご相談ください。
また、記載内容は執筆時点の法令・ガイドラインに基づいています。改定により内容が変わる可能性がありますので、実務にあたっては必ず原典をご確認ください。
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この記事は、学習塾向けのホームページ作成サービス「chotto」が作成しました。

